研究内容

認知過程のモデル化と工学応用

 人を情報の入力を受けて行動出力をするシステムだと考え,その内部で行われている処理をモデル化し,工学に応用する方法を研究しています.処理は大きく分けて,カテゴリ認知,価値判断,意思決定に分けられます.

 例えば,魚屋に行って魚を買うときのことを考えてみます.店先に並んでいる魚を見て,人は「サワラだ」「鮎だ」などと認識します.このとき個体差や加工状態は無視されます.次に,「サワラは嫌い..」「鮎はまあまあ好き」のような価値判断を行います.人によって価値判断はバラバラです.また.このような価値判断は直感的に行われます.最後に,「鮎よりサワラが安い」とか「夫はサワラの方が好きだったな..」など様々な観点が検討され購買の意思決定に至ります.人によって重要視する観点が違うので全ての人が同じ意思決定を行うわけではありません.

 重要な点は全ての処理において偏りが存在することです.同じ情報を与えられても人それぞれ行動出力が違うのはその偏りのためです.私達は偏りを心理実験とデータサイエンスを用いてモデル化する研究を行っています.

この情報処理過程を完全にモデル化することができれば,

  • 人を代替する意思決定を可能にする人工知能が実現できます.
  • 人に特定の行動,例えば購買購読を高確率で起こさせる製品やサービスを設計することができます.